サイドカー
ブラフ シューペリア
ロレンス
リーピング レナ
唯一無二の芸術品とも称されるサイドカー「リーピング レナ」は、「ロレンス」モデルをベースに、フランス南西部に住む情熱的な愛好家のために特別に誂えられたカスタム車輌です。その流麗なシルエットは、葉巻型のエアロダイナミクスを備え、まるで空を優雅に漂う飛行船ツェッペリンを思わせます。ブラフ シューペリア社のディレクター、アルベルト カスターニュ(Albert Castaigne)は、次のように語っています ── 「この造形はブランドの歴史に深く根ざしたものです。戦前に製造されたブラフ シューペリアのうち、およそ3分の1はサイドカー付きで生産されており、当時は家族の移動手段として広く使われていました」と。
歴史に息づく、
現代の再解釈
1932年、オーストラリア出身のアラン ブルース氏は、ウィーンにて時速200kmの壁を突破した最初の人物となりました。その偉業を支えたのが、J.A.P社製1000ccエンジンを搭載したブラフ シューペリア製のサイドカー ── 名称も同じく「リーピング レナ」でした。当時の車輌には、乗客の代わりに65kgの重りが搭載され、走行バランスを保っていたと記録されています。この歴史的な偉業に敬意を込めて、現代に甦った「リーピング レナ」は、1930年代の美学を今に映し出す一台となっています。トゥールーズ本社に所属するデザイナー、レミー ラヴェルヌは、ベル エポックの華やぎとアール デコの気品を融合させ、優美なデザインを描き出しました。
卓越した職人技と、
先進技術の融合
技術面では、「金属と溶接の魔術師」として知られるエリックが制作を担当しています。チタン製のサブフレームとアルミニウム板で構成されたシェルによって、軽量でありながら剛性に優れた堅牢なフレームが完成しました。この唯一無二のサイドカーには、実に120時間以上もの丹念な手作業が注がれています。すべての工程が緻密に進められ、オーナーの審美眼と完全に響き合うかたちで、トゥールーズにて丁寧な検討と承認を経て、真に個人的な芸術作品として結実。
「ロレンス リーピング レナ」は、ブラフ シューペリアが誇る百年の伝統、緻密なクラフツマンシップ、そして現代技術が見事に調和した傑作です。過去の栄光を静かに讃えながら、未来へとつながる新たな伝説の扉を、今、ゆっくりと開いています。