Brough Superior | ブラフシューペリア : アルティメット。100周年を記念して19台のみ製作された究極の象徴。伝統と革新が結晶したコレクターズアイテム。

Brough Superior
Ultimate

── 刻まれた伝説、今ふたたび。
1919年、英国ノッティンガムの地にて産声を上げたブラフシューペリア（Brough Superior）。その名はやがて、比類なき技術力と芸術的造形美を備えた特別な車輌として、英国モーターサイクル史に燦然と輝く象徴となりました。

時は流れ、誕生から1世紀を越えて ──。
この記念すべき節目にあたり、ブランドは改めて自らの血統に向き合い、哲学を深く見つめ直しました。そしてその思索の果てに辿り着いたのが、記念モデルアルティメット（Ultimate）。その名のとおり、「究極」の理念を体現すべく生まれた珠玉の一台です。選ばれしふたつの象徴、S.S.100とロレンス（Lawrence）。この2台を礎に、構造、意匠、そして素材──すべてを鍛え抜き、磨き上げることで結晶化された特別仕様モデルが、アルティメットです。製造台数は、各モデルわずか19台。その数字は、創業年である1919年にちなんだもので、ブラフシューペリアの名が持つ重厚な歴史と、受け継がれる誇りの象徴でもあります。このモデルに宿るのは、機構の精緻さや高次元の完成度のみではなく、息づいているのは、ブラフシューペリアの精神、そして一貫した美学に支えられた確固たる哲学 ──。静かに、しかし圧倒的な存在感を放ちながら、「究極」の名を語り始めるのです。

Ultimate S.S.100── 受け継がれし伝説、その極点へ

1920年代、ブラフシューペリアにおいて燦然と輝く傑作、S.S.100は、世界最速の称号をその手に収め、数々のスピード記録を塗り替えてきました。その名は、圧倒的な性能と気品を兼ね備えた名車として、モーターサイクル史の頂に君臨し続ける永遠の象徴となりました。そして現代、その不朽の魂を現代に受け継ぎ、極限の次元へと昇華させたモデル ── それがアルティメット S.S.100です。このアルティメット仕様において、もっとも注目すべきは、その心臓部に秘められた構造美の真髄。搭載される997cc V型2気筒エンジンのクランクケースには、アルミニウム無垢材（インゴット）から直接切削された一体構造を採用。鋳造という中間工程を排し、素材そのものに語らせるかのように、5軸CNCマシンによって丹念に削り出す。膨大な手間と莫大なコストをも厭わず、ただひたすらに最良のかたちを求めたその工程により、設計思想と造形美が完全なる融合を遂げています。その表面には、意図的に切削痕が意匠として残されており、構造そのものが美であるという哲学が貫かれています。アルティメットにおけるエンジンは、パワートレインの中核として力を生み出すと同時に、その姿かたち自体が美を語る存在へと仕立て上げられています。この精緻なる機構を包み込むのは、漆黒に染め上げられた深みあるボディ。タンク上部には、銀箔による繊細なストライプが浮かび、流麗な筆記体で描かれた「Ultimate」のロゴが静かに、その格を物語ります。2018年に登場したクロームメッキ仕様のS.S.100を想起させつつも、アルティメットではさらなる洗練が施されています。タンク側面に走る細身のシルバーストライプが、特別仕様車としての存在を明確に刻み、燃料キャップ直下にはシリアルナンバー入りのネームバッジが、控えめながらも確かな誇りを主張。S.S.100に見られた3本のラップアラウンド式メタルストラップはあえて省かれ、より滑らかで一体感に満ちた造形が施されることで、タンク全体の静謐さがいっそう際立っています。クラシカルな18インチスポークホイール、そして伝統の4ディスク構成を持つブレーキシステムが、過去と現代を美しく結び、連綿たる歴史への敬意を静かに表現します。製造台数は、世界限定わずか19台。すべての個体には、専用のシリアルナンバープレートが付与され、記念モデルとしての真正性と威厳を確かなものとしています。

Ultimate S.S.100 ──
それは、歴史と技術、造形と哲学が見事に融合し、現代におけるS.S.100の理想像として結晶した、比類なき存在です。

Ultimate Lawrence── 未来を纏いし造形、

静謐にして峻烈なる存在

ブラフシューペリアの哲学を体現する存在ロレンス（Lawrence） ──。その名は、かつてアラビアの荒野を駆けた英国陸軍将校、T.E.ロレンス（トーマスエドワードロレンス）に由来します。ロレンスとブラフシューペリア。その関係は、単なるオーナーと愛車の枠を超え、いまなおひとつの神話として語り継がれる、深遠なる物語を宿しています。アルティメットロレンス（ Ultimate Lawrence）は、その神話を現代に甦らせ、さらに高次元へと昇華するべく誕生した、記念限定仕様モデル。ベースとなるロレンスが持つ、しなやかさと剛性を兼ね備えた骨格に、設計哲学と技巧の粋を注ぎ込むことで、その輪郭は、より峻烈に、より静謐に、深く研ぎ澄まされています。最大の特長は、やはりその心臓部にあります。S.S.100 アルティメットと同様、アルミニウム無垢材（インゴット）から一体切削されたクランクケースを採用。鋳造という工程を完全に排し、5軸マシニングセンタによる極めて精緻な切削加工によって、設計と仕上げがひとつの意図のもとに融合する ──それは、機械構造として異例ともいえる美と機能の一致です。この心臓を包み込むのは、マットブラックとカーボンファイバーで構成された、研ぎ澄まされた漆黒の外装。その造形には、静寂の中に張り詰めた緊張が宿り、細部に至るまでが設計哲学と素材の純度によって緻密に構成されています。タンク上には、銀箔のストライプと「Ultimate」の筆記体ロゴが慎ましくあしらわれ、その稀少性と格式を静かに物語ります。足元には、前後異径の鍛造ホイール、そしてリアには200mm幅の極太ワイドタイヤを配備。走行性能における剛性やトラクションを高次元で追求しつつ、その佇まいは造形としての均衡と静けさを損なうことなく、緻密に設計されています。製造台数は、アルティメット S.S.100と同じく世界限定19台。それぞれの個体には、専用のシリアルナンバープレートが与えられ、1919年の創業という系譜とともに、このモデルの真正性と存在意義を静かに証言しています。

Ultimate Lawrence ──
それは、ブラフシューペリアの魂を受け継ぎ、ティエリーアンリエットの手によって現代に鍛え直された哲学の結晶。百年を超えてなお進化をやめぬブランドの意思が、この車輌において静かに、しかし峻烈に息づいています。美と機能、伝統と未来が交差するこの造形は、真に究極と呼ぶにふさわしい到達点なのです。