映画『アラビアのロレンス 東洋の夢』──
ひとつの冒険への敬意
アラビアのロレンスが中東の地でその冒険を始めてから、まもなく1世紀。2022年11月28日、ウシュアイアTVにて、その偉業に敬意を捧げる映画『アラビアのロレンス 東洋の夢(Lawrence d’Arabie – Un rêve d’Orient)』が放送されました。この作品では、旅行作家シルヴァン テッソン氏がロレンスの足跡をたどり、オートバイで新たな旅に出ます。その道のりは、過去と現在を静かに重ね合わせながら、彼自身の探究心と重なるものでもあります。
若きロレンスの旅、
そして再訪される風景
物語は、T.E.ロレンスが20歳のときに始めた旅から幕を開けます。彼はレバント地方に点在する十字軍の城を訪ね歩きました。この体験が、のちに彼をオスマン帝国に対するアラブの大反乱へと導く重要な転機となり、その後の歴史的役割の起点となります。約1世紀を経た今、作家のテッソン氏と写真家のトマ ゴワスク氏が率いる探検隊が、ロレンスの足跡を追い、ヨルダン、シリア、レバノンをバイクで巡ります。旅の中で彼らは、ロレンスの精神と、かつての風景に改めて触れることになります。
映像に刻まれた
再現と回想
この映画の監督を務めたのは、クレマン ガルグロー 氏。彼は旅のあらゆる瞬間に寄り添い、カメラを通して記憶と風景を丹念に記録しました。作品の終盤では、T.E.ロレンスが駆ったブラフ シューペリア S.S.100と、彼が語った空の記憶 ── ブリストルの複葉機との競走 ── が再現されます。それは彼の著作『マトリックス(The Mint)』に記された情景でもあり、かつての疾走と静寂がスクリーンに蘇る瞬間です。